【第2拝】第32番札所「禅師峰寺」
【第2拝】第32番札所「禅師峰寺」
平成19年11月4日 11:18
第31番札所「竹林寺」を後にして、第32番札所「禅師峰寺」へ向かって歩き始めます。
竹林寺の駐車場まで下りてくると…タクシーを見かけます。
タクシーから降りて、車の横で立ちながら客待ちをしている運転手さんに声をかけます。
「32番さんまで歩いたら2時間ぐらいですか?」
運転手さん曰く「2時間ぐらいじゃねぇ。乗りなさる?2千円まではかからんぐらい。」とのこと。いきなり単刀直入に。そりゃま、ご商売ですから…。
「まだ歩くか悩んでいるところでして…。」悪あがきをしてみます。
運転手さん「まぁ、乗りなさいな。ここから不便なところやし!」と続けられます。決して、ひつこくは無かったのですが…南方への光景を思い出し、揺らいでいる心には響きます。
「では、お願いします。」
商談成立です。
「歩くことへの意志」は、ほんの数10メーターで脆くも崩れ去ります。
そそくさと、タクシーへ乗車します。
すぐに発車です。
先ほど、ゆっくり登ってきた車道を…見る見る下っていきます。この山道、県道359号線だったのですね。歩いたときは気がつきませんでした。
心の中で「あ~ぁ。乗っちゃったよ。」みたいな、残念と思う考えが沸き起こってきます。

短いながら、県道32号線を経由、県道376号線へ合流します。
この県道376号線、五台山トンネルから南へ延びる道路で、今朝の南への展望で「歩く気力を削いだ道」でしたが、タクシーで走ってしまえば…何のことなく短く。
車中では、運転手さんの弁が立つので大変に賑やかです。
「どこからおいで?夕べはどこに泊まったの?」と社交辞令に近い質問が続きます。
「昨日、徳島から来て28番の大日寺さんから打ち始めて…高知駅前で泊まりました!」から話題が広がります。今朝からのルートなどへ。
「大丸デパート1階のバスターミナルが無くなっていたのはビックリしました!新しい道、トンネル、橋も増えていて驚きました。歩けば良く分かるものです。」今朝からの感想を述べます。運転手さんと話をしていると、少し土佐弁も戻ってきているかな?
「高知は大変じゃろう?」運転手さんより。
「いや確かに。土佐の高知『修行の道場』がこれほどとは…。昨日も大変だったですよ。」お答えします。
「実は10年ぐらい前、高知に住んでいたがですよ。このあたりは庭みたいに走り回っていましたが…えらい変わったです。歩けば大変です。」土佐弁モードのスイッチオン?
「ありゃ?なんか土佐弁ぽいところがあると思えば…そうながかえ?」
そして、話題はさらに脱線します。
気がつけば、県道376号線を離れ、細い路地へ入っています。
そして、県道14号線「黒潮ライン」へ合流します。
前回、入り道が分からなくて迷ったところ…。
さすがプロドライバー。今回は真正面にドンピシャリ出てきます。
さらに細い路地を抜け、少しの登り坂を過ぎると…間もなく到着です。

タクシーの運転手さん曰く「お参りのあいだ駐車場で待っていてあげるよ?」とのこと。
「一度、札所に入ると長い時間いるので…そのあいだ商売にならないのは申し訳ない。どうぞ、お構いなく…。」丁寧にご辞退申し上げます。
約8Kmを15分ほどで到着です。
歩けば2時間ほどでしょうか?「お赦しのタクシー」と言うことで、お許しください。
南国市十市の第32番札所「禅師峰寺です。

いきなり、みやげ物店のおばさんと出会います。
「あんまりキツくて、タクシー乗ってしもたがです!」照れくさそうに言ってしまいます。
「ほかにもよけおるおる!(「ほかにもたくさんいるいる」の意)」と慰められます。
ついでで申し訳ありませんが、カメラをお願いしてしまいます。
「十一面観世音菩薩の像」へ向かって右手、石段を登ります。
この、十一面観世音菩薩様は「船魂観音(ふなだまかんのん)」とも言われ、海上安全に霊験があると伝えられています。
当寺は、禅師峰寺の寺号からか「峰寺(みねんじ)」と親しまれているそうです。
ひとまず平坦になったところで、左手へ向かうと仁王門です。右手へ向かうと納経所です。
仁王門前で、白装束のご夫婦と出会います。
「良いお参りを!歩いておいでやねぇ。お気をつけて!」と声をかけられます。
「お疲れ様です!お気をつけて!」と応えます。
ごめんなさい。この区間は歩きませんでした。


仁王門で一礼。境内へ伸びる石段を登り、参道をさらに進みます
このあたりから遠方への景観も良くなってきます。好きな札所の1つです。
駐車場で見かけた車の台数からすると、人影少ないようです。
団体さんとも鉢合わせになっていませんし、良かったと思う方向へ考えます。

本堂から大師堂へと参拝します。
本日では、最後の参拝と思って丁寧に読経します。
大師堂への参拝が終わったところ、少なかった人影はすでになくなっています。
本堂前の「杖立て」まで戻ってきます。
「あら?杖が無くなった!」
どなたか、間違えて持って行かれたようです。
代わりに、良く似た杖が1本残っています。杖には、某市S氏の住所氏名が書かれています。電話番号は書かれていません。
あたりを見回すと、すでに誰もいません。
わたしは、他の方が間違えないように、敢えて「杖カバー」は付けていません。そして、住所氏名は書いていますが、残念ながら電話番号までは書いていません。よもや「間違えて持って行かれることは無い」と確信していたからです。
残っている杖は、同じように杖カバー無しです。ただ、S氏のは真新しく…わたしのとは長さが全然に違うハズなのですが…。

慌てて、納経所へ向かいます。
もしかしたら?まだ、納経所で残っておいでるかも?
何人か待っています。
「某市のSさん、おいでますか?杖を間違えてませんか?」
…いません。
朱印と筆は後にして。
さらに慌てて、駐車場まで駆け下ります。
車に人が乗っていることを確認して、1台づつ聞いて回ります。
「Sさんですか?」6台ほど聞きます。
…いません。
ひとまず、納経所へ戻ります。奥様?と男性が座っておいでです。
無事ではありませんが、納経の印をいただきます。
ひどく速く終わったので心配してしまいます。が、仕上がりは問題ないのかな?大丈夫みたい。
納経所を後にして、長時間座っても差し障りのなさそうな…納経所建物の玄関近くで座ります。
わたしの杖を持っている方が、心得のある方なら、時間を空費しても帰ってきてくれるかな?帰ってくるならココかな?甘い期待もあります。
第33番札所「雪蹊寺」、そして念のため第31番札所「竹林寺」へも電話をかけます。
事情を説明します。
「わたしの『金剛杖』を持った方がそちらに向かわれるかも知れません。納経所で見つけていただければ助かります。」連絡先の電話番号も伝えておきます。
同様の内容を両方の札所へ伝えます。
ただ、竹林寺さんは「逆打ち」になるので可能性は低いです。
逆打ちをするような人物が、よもや「他人と杖を間違える」なんて…考えにくいことでもあります。
あきらめ半分で、座り込みノートの整理をします。
突然に、知らない番号から携帯へ電話がかかってきます。
取ってみて「Sさんですか?マと言います。」と尋ねます。
電話の主はS氏です。
「わたしの杖が無くなって、Sさんの杖が残っていました。よく似ているので連絡をお願いしました。」と伝えます。
S氏曰く「33番にいます。マさん(わたし)の杖は持っていません。自分のも無くなって手ブラです。」とのこと。
瞬間「うーん…。」と考えてしまいます。
疑ってもイケませんし、これは言う通りとしましょう。
わたしより「ここにSさんの杖があるのですが、どうしましょうか?」尋ねます。
S氏曰く「杖はいりません。そちらで処分してください。」と伝えられます。
いよいよ、「うーん…。」と考え込みます。短い時間だったハズ。
「了解しました!」と言うつもりで、「りょうか…」あたりで電話を切られてしまいます。
わたしが、「お大師様の化身とされる」杖を、私的に捨てるわけにはイケません。間違っても、ゴミに出すことなんて出来ません。
当然、S氏の杖を続けて使うことはできません。
仕方がないので、S氏の杖は札所に預けます。
納経所の男性より「雪蹊寺さんで追いつかなかったら、その次に追いつきます。お預かりまします!」とのこと。S氏の電話番号も知らせておきます。
一応、わたしの「特製納札」も渡しておきます。
S氏より「33番さんにいる…」と言うことが分かりましたので、再び第33札所「雪蹊寺」へ電話します。
「先ほど、杖を間違われたのではと思って、Sさんを呼んでもらったマと言いますが…先ほどSさんから『持ってない』と言われまして…。」ほか状況を説明します。
「納経所においでた方で聞いてみます。」とのこと。
第32番札所「禅師峰寺」、納経所の方より。
「これで『厄を落とした』と前向きに考えるほうが良いかもね?」
「ですねぇ。」答えます。
そういうことでしょう。
たぶん、わたしが2年ほど使ってきた杖は出てこないでしょう。
さっぱり、あきらめることにします。
いや、しかし「たまに杖が無くなる」とは聞いていましたが、このような形で現れるとは思いませんでした。
最終日の帰路の直前です。
最後の最後に、なんと言うことでしょう。

ふと、納経所の前で見覚えのある青年と出会います。
第28番札所「大日寺」そして第29番札所「国分寺」で出会った青年です。
「こんにちは!」と挨拶を交わしたところが、なんか見覚えがある。
「竹林寺さんから、イカサマしてタクシーで来ました。先に来てしまいました!」言ってしまいます。
「そういうコトもありますよ!」と慰めていただきます。
わたしの電話の声が大きかったのでしょうか?一連の「杖が無くなった」話でポイントについては聞かれていたようです。
「杖を無くされたようですが…?」青年より尋ねられます。
「本堂から大師堂とお参りした後に無くなっているのに気がつきました。良く似た杖が残っていたので、33番さんで持ち主を見つけてもらったら、今に電話があったのですが『知らない』と言うんです。」
「そうですかぁ。これから33番さん行きますので、気をつけてみますね!」
期待しつつ、お礼を申し上げて別れます。特製納札も渡してしまいます。
最後に、境内を…もう一回りしてみます。
ただの見落としで、わたしの杖が残っていないかな…?
やはり見つかりません。無くなったので確定のようです。
ウロウロしていたら、別の遍路さんから質問攻めにあったりして。
「歩き遍路さんですね?遍路道について…」
子細は略。

石段を下ってくると、みやげ物店です。
到着時にも出会った、おばさんから声がかかります。
「誰か探しておったのじゃないが?」
「探しよったけど、見つからざった。あきらめた。」応えます。
「杖が無くなって、探しよったがよ!」
「横着したら、お大師さまも逃げるがかね?」冗談半分で。
おばさん「そんなこた無い無い(笑)」とのこと。
「帰りのバスはあるじゃろか?」尋ねます。
「さぁ?運が良ければ、バスもあるじゃろ(笑)」と返ってきますが、これで文字通り「正解」。
郊外のバスは、そういうものです。
昨日も、身をもって知ったハズ。
努めて明るく!元気に!
「ありがとう!」とお礼を申し上げます。
時に12時55分。禅師峰寺を後にして帰路につきます。
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» 2巡目:土佐一宮駅→三十一番竹林寺→三十四番種間寺→仁淀川大橋北【2007年11月】 [鉄道おたく旅]
2007年11月11日
前回から1ヶ月以上開いてしまったのは、天気が悪かったり、膝が痛かったり、二日酔いだったり、鉄ヲタだったりしたため。
さすがに11月も中旬に入ると、残暑だなんだかんだと言っていたことさえ忘れているみたいだな。歩くのに良い季節になってきた。
今日のルートでは、三十一番と三十二番に若干の上りがある以外は、だいたい平坦。やっと到着した高知市なのに、本日中に浦戸湾を渡って春野町まで抜けてしまいます。
土電の線路を渡って、まずは三十一番竹林寺へ。
続きはこちらのアル... [続きを読む]
受信: 2007.11.18 20:55



コメント
杖の件、大変でしたね。
ところで、1週間後、私も三十二番行ってきました(トラックバックもしときました)。行ったのは2回目ですが、海の眺めが素晴らしいですね。
投稿: ◆TETEGcvoTg | 2007.11.18 20:54